吉野村の下に人落しと云ふ所あり。昔は六十二歳に限り此所へ棄てしと云ふ」とある。さて親を棄てに行つた子が、自分も其齡になれば棄てられると考へ付いての發意で、此事が止んだと云ふのは、漢の皇甫謐の孝子傳・萬葉集・今昔物語・ぐりんむ[#「ぐりんむ」に白三角傍点]の獨逸童話其他に多く見えて、歐亞諸邦に瀰漫した譚である。[#地から1字上げ](南方熊楠)



底本・初出:「土俗と傳説 第壹卷 第壹號」文武堂店
   1918(大正7)年8月
入力:高柳典子
校正:多羅尾伴内
2003年7月24日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
南方 熊楠 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング