立つと思う。
(1)[#「(1)」は縦中横] 先ず第一に知らねばならないことは、法令はすべて解釈を予定して書かれていることである。無論、個々の法規のなかには、普通の国語知識を持っていさえすればその法的意味を正しく理解し得るものもあるけれども、それはむしろ稀な場合であって、法令法規の大部分は解釈を予定して書かれており、解釈を通して初めて法が何であるかを知り得るようにできている。これは初学者にとっては恐らく不可能なことで、法令が完全にできていさえすれば解釈を容れる余地はないように考えるであろう。現にナポレオン皇帝でさえ、彼の民法典に初めて解釈を加えた本を作られた際に、「わが法典失われたり」という嘆声を発したと伝えられているくらいだから、初学者がそう考えやすいのは至極尤もなことである。
ところが、解釈の必要は法令そのものの本質から来るのであって、一見簡単に見える法規でも、解釈を通して初めて、その法的意味がわかるようにできているのが普通である。いわんや、いくつかの法規の組合せでできている法令は、法規相互の間に一定の脈絡をつけて全体が論理的に矛盾のない一つの統一体をなすような仕組で作られてい
前へ
次へ
全35ページ中19ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
末弘 厳太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング