権によって広い地域にわたって持続的に治安を確立し、大規模生産に不可欠な市場を形成すること、近代国家が種々の経済秩序(例えば商法・統一的貨幣制度など)を創設・保証・維持すること、さらにまた、専門家としての近代的『官僚』が国家の計画的・合理的な経済政策(たとえば財政・金融政策など)を可能ならしめること、などその顕著な場合である」。そして「近代国家の国家活動は、あらかじめ国民に公示された成文法秩序のもとに、専門的かつ無私的な官僚によって、計画性と安定性とをもって執行される」。かくして国家活動が「偶然性・恣意性を脱し、あらかじめ計算しうる(予見しうる berechenber)ものとなる」によって、「企業は安心して国家活動をその企業活動に織りこむことができ」、「近代的工場経営に特徴的な固定投資はこれによってはじめて可能となるのである」。
以上の趣旨を、法学的の立場から更に必要と思われることを補足しながら、綜合して要約すると、次の通りになる。
(1)[#「(1)」は縦中横] 近代社会のあらゆる事柄は、主として官庁・企業等の「大量成員団体」により「組織の力」によって運営されているが、かかる大規模
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