ほか》のすべてのものはごく静かであったので、階段を上りながら持って行かれる火把と、玄関の大扉のところで差し出されているもう一つの火把とは、夜の戸外にあるのではなくて、密閉した宏壮な室の中にでもあるもののように燃えていた。梟の声の他《ほか》に聞える物音とては、噴水がその石の水盤に落ちる音ばかりであった。何しろ、その夜は、何時間も続けざまに息《いき》を殺し、それから長い低い溜息を一つ吐いて、また息を殺すと言われるあの闇夜《やみよ》なのであったから。
 玄関の大扉が背後で鏘然たる音を立てて閉《し》まると、侯爵閣下は、古い猪猟槍や、刀剣や、狩猟短剣などで物凄く飾られ、また、今はおのが保護者なる死の許《もと》へ行っている多くの百姓たちが、領主の怒りに触れた時にそれで打たれたところの、太い乗馬笞や馬鞭などでいっそう物凄く飾られている表広間を、横切って行った。
 夜の用心のために戸締りをしてある、暗い、大きな部屋部屋を避けながら、侯爵閣下は、火把持を前に歩かせて、階段を上って、廊下に向いている一つの扉《ドア》のところまで行った。その扉《ドア》がさっと開《あ》けられると、彼は、寝室と他の二室、都合三室
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