あって、それを発明したある婦人が自分の名をそれに与えたのだ、と明かに思い込んでいたものらしい。★)
クランチャー君の借間《アパートメント》は附近が悪臭のない場所ではなかった。そして、たといたった一枚だけの硝子板の嵌っている物置を一室に数えるとしても、間数《まかず》は二つきりであった。しかし、その二|間《ま》はごくきちんと片附いていた。その風の強い三月のある日の朝、まだ時刻が早かったのに、彼の寝ている部屋はもうすっかり拭き掃除がしてあった。そして、朝食の用意に並べてあるコップや敷皿と、がたがたする樅板との間には、ごく清潔な白い布が掛けてあった。
クランチャー君は、寛《くつろ》いでいるハーリクィンのように、補綴《つぎはぎ》だらけの掛蒲団をかぶって寐ていた★。最初は、ぐっすりと眠っていたが、だんだんと、寝床の中でのたくり※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]ったり波打ったりし始め、遂には、例の忍返《しのびがえ》しを打ちつけたような髪の毛で敷布《シーツ》をずたずたに裂きそうにしながら、蒲団の上へぬっと起き上った。その途端に、彼は恐しく怒り立った声で呶鳴った。――
「畜生、あいつめまたや
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