何がどうしたと云うんだえ、ええディルバアのお主婦さん?」と、その女は云った。「誰だって自分のためを思ってする権利はあるのさ。あの人[#「あの人」に傍点]なんざ始終そうだったんだよ。」
「そりゃそうだとも、実際!」と、洗濯婆は云った。「何人《だれ》もあの人以上にそうしたものはないよ。」
「じゃ、まあそう可怖《おっかな》そうにきょろきょろ[#「きょろきょろ」に傍点]立っていなくとも好う御座んさあね、お婆さん、誰が知ってるもんですか。それに此方《こちとら》だってお互に何も弱点《あら》の拾いっこをしようと云うんじゃないでしょう、そうじゃないかね。」
「そうじゃないともさ!」と、ディルバーの主婦さんとその男とは一緒に云った。「もちろんそんな積りはないとも。」
「それなら結構だよ」と、その女は呶鳴った。「それでもう沢山なのさ。これ位僅かな物を失くしたとて、誰が困るものかね。まさか死んだ人が困りもしないだろうしねえ。」
「まったくそうだよ」と、ディルバーの主婦さんは笑いながら云った。
「死んでからも、これが身に着けていたかったら、あの因業親爺がさ」と、例の女は言葉を続けた。「生きている時に、何故人間
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