られるようになっているんだ。それから自余《あと》の二人も満更知らぬ顔ではない。まあ待て、俺が店の戸を閉めるまでよ。ああ、何と云うきしむ[#「きしむ」に傍点]戸だい! この店にも店自身に緊着《くっつ》いてるこの蝶番いのように錆びた鉄っ片れは他にありゃしねえよ、本当にさ。それにまた俺の骨ほど古びた骨はここにもないからね。ははは! 俺達は皆この職業《しょうばい》に似合ってるさ、まったく似合いの夫婦と云うものだね。さあ居間へお這入り。さあ居間へ!」
居間というのは襤褸の帷幄《カーテン》の背後になっている空間であった。その老爺は階段の絨緞を抑えて置く古い鉄棒で火を掻き集めた。そして、持っていた煙管《パイプ》の羅宇《らう》で燻っている洋灯の心を直しながら(もう夜になっていたので、)再びその煙管を口へ持って行った。
彼がこんな事をしている間に、既にもう饒舌ったことのある女は床の上に自分の包みを抛り出して、これ見よがしの様子をしながら床几の上に腰を下ろした――両腕を膝の上で組み合せて、他の二人を馬鹿にしたようにしゃあしゃあ[#「しゃあしゃあ」に傍点]と見やりながら。
「で、どうしたと云うんだね!
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