しようと努力しているので御座います。私どもがこの際を選んだのは、それが特に、貧乏が痛感されていると共に、有福な方々が喜び楽しんでおいでの時だからで御座います。御寄附はいくらといたしましょうか。」
「皆無」と、スクルージは云った。
「匿名がお望みで?」
「いや、私は打遣っといて貰いたいのだ」と、スクルージは云った。「何が望みだとお尋ねになるから、こう御返辞をしたのです、私は自分でも聖降誕祭だって愉快にはしていない。ですもの、怠惰者を愉快にしてやる訳には行きません。私は今挙げたような造営物の維持を助けている――それだけでも随分|費《かか》りますよ。暮しの立たない者はそこへ行くが可いのさ。」
「多くの人がそこへ(行こうと思っても)行かれません。また多くの人は(そんな所へ行く位なら)いっそ死んだ方が優《ま》しだと思って居りましょう。」
「いっそ死んだ方がよけりゃ」と、スクルージは云った、「そうした方が可い、そして、過剰の人口を減らす方が可う御座んすよ。それに――失礼ですが――そう云う事実は知りませんね。」
「でも、御存知の筈ですが」と、紳士は云った。
「いや、そりゃ私の知った事じゃない」と、ス
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