の報いがあるでしょうから、何も私が彼是あの人を悪く云うことはありませんよ。」
「あの方はたいへんなお金持なのでしょう、ねえフレッド」と、スクルージの姪は云い出して見た。「少なくとも、貴方は始終私にはそう仰しゃいますわ。」
「それがどうしたと云うの?」と、スクルージの甥は云った。「あの人の財産はあの人に取って何の役にも立たないのだ。あの人はそれで何等の善い事もしない。それで自分の居まわりを気持ちよくもしない。いや、あの人はそれで行く行く僕達を好くして遣ろうと――はッ、は、は! そう考えるだけの満足も持たないんだからね。」
「私もうあの人には我慢出来ませんわ」と、スクルージの姪は云った。スクルージの姪の姉妹も、その他の婦人達も皆同意見であると云った。
「いや、僕は我慢出来るよ」と、スクルージの甥は云った。「僕はあの人が気の毒なのだ。僕は怒ろうと思っても、あの人には怒れないんだよ。あの人の可厭《いや》なむら[#「むら」に傍点]気で誰が苦しむんだい? いつでもあの人自身じゃないか。たとえばさ、あの人は僕達が嫌いだと云うようなことを思い附く。するともう、ここへ来て一緒に飯も喫べてくれようとはしな
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