ちゃいませんよ。どうして二人は仲好く出来ないのですかね。」
「左様なら」と、スクルージは云った。
「貴方がそう頑固なのを見ると、私は心から悲しくなりますよ。二人はこれまで喧嘩をしたことは――私が相手になってしたことは一度だってありません。ですが、今度は聖降誕祭に敬意を表して、仲直りをして見ようと思ったのです。私は最後まで聖降誕祭の気分を保って行くつもりですよ。ですから、聖降誕祭お目出とう、伯父さん!」
「左様なら」と、スクルージは云った。
「そして、新年お目出とう!」
「左様なら」と、スクルージは云った。彼の甥はこう云われても、一語もつっけんどんな言葉は返さないでその部屋を出て行った。彼は表側の戸口の所で立ち停って、書記に時節柄の挨拶をした。書記は冷えていたが、スクルージより温かい心を持っていた。と云うのは、彼も丁寧に挨拶を返したからである。
「まだ一人居るわい」と、スクルージは彼の声を聞き附けて呟いた。
「一週間に十五シリング貰って、女房と子供を養っている書記の奴が、聖降誕祭お目出とうだなんて云っていやがる。俺は瘋癲病院へ退き込もうかな。」
 この狂人はスクルージの甥を送り出しながら
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