も一同を祝福したまわんことを」と、皆の一番後からちび[#「ちび」に傍点]のティムが云った。
 彼は阿父さんの傍にくっついて自分の小さい床几に腰掛けていた。ボブは彼の痩せこけた小さい手を自分の手に握っていた。あたかもこの子が可愛くて、しっかり自分の傍に引き附けて置きたい、誰か自分の手許から引き離しやしないかと気遣ってでもいるように。
「精霊殿!」と、スクルージは今までに覚えのない興味を感じながら云った。「ちび[#「ちび」に傍点]のティムは生きて行かれるでしょうか。」
「私にはあの貧しい炉辺に空いた席と、主のない撞木杖が大切に保存されてあるのが見えるよ。これ等の幻影が未来の手で一変されないで、このまま残っているものとすれば、あの子は死ぬだろうね。」
「いえ、いいえ」と、スクルージは云った。「おお、いえ、親切な精霊殿よ、あの子は助かると云って下さい。」
「ああ云う幻影が未来の手で変えられないで、そのまま残っているとすれば、俺の種族の者達はこれから先|何人《だれ》も」と、精霊は答えた、「あの子をここに見出さないだろうよ。で、それがどうしたと云うのだい? あの児が死にそうなら、いっそ死んだ方がい
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