サして、これはいゝ知らせを聞いたと喜びました。よく考えてみると、ボートを漕いでいるときに、私は紐で帽子をしっかり頭に結びつけていました。それから、泳いでいるときも、それは絶えず頭にかむっていました。ところが、難船後はじめて陸にたどりついたときには、なにしろ私はひどく疲れていたので、何かの拍子に、紐が切れて落っこちたのも知らなかったのです。帽子は海で失くしたものとばかり思っていました。
 私は皇帝に、それは帽子というものだということを、よく説明して、どうかさっそくそれを取り寄せてください、とお願いしました。すると翌日、馬車引がそれをとゞけてくれました。帽子はかなり、ひどいことをされていました。縁から一インチ半ばかりのところに、穴を二つあけ、これに鈎《かぎ》が二つ引っかけてあります。その鈎を長い綱で馬車にくゝり、こんなふうにして一マイル半以上も引きずって来たのです。たゞ、この国は地面が非常に平なので、帽子の傷もそれほどではなかったのです。
 それから二日たつと、皇帝は、首府の軍隊に出動を命じて、また途方もない遊びを思いつかれました。私にはできるだけ、大股をひろげて、巨人像《コロッサス》のよ
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