ヘ皇帝の前で読みあげられました。
皇帝は、ていねいな言葉で、その目録に書いてある品物を、私に出せと言われました。まず短刀を出せと言われたので、私は鞘ごとそれを取り出しました。このとき、皇帝は三千の兵士で私を遠くから取り囲み、いざといえば、弓矢で射るように用意されていたのでした。が、私の目は皇帝の方だけ見ていたので、それには少しも気がつきませんでした。
「その短刀を抜いてみよ。」
と皇帝は言われました。刀は潮水で少し錆《さ》びてはいましたが、まだよく光ります。スラリと抜き放つと、兵士どもは、あッと叫んで、みんな驚き恐れました。振りかざしてみせたら、太陽の反射で、刀がピカ/\光り、兵士はみんな目がくらんでしまったのです。が、皇帝はそれほど驚かれませんでした。それをもう一度、鞘におさめて、鎖の端から六フィートほどの地上に、なるたけ静かに置け、と私に命令されました。
次に皇帝は、鉄の筒を見せよと言われました。鉄の筒というのは、私のピストルのことです。私はそれを取り出して、その使い方を説明しました。そのピストルに火薬を詰めて、
「今から使って見せますが、どうか驚かないでください。」
と皇
前へ
次へ
全249ページ中20ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
スウィフト ジョナサン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング