や》るけれど、其頃《そのころ》は着手《きて》の無いインパネスの最《もう》一倍《いちばい》袖《そで》の短《みじか》いのを被《き》て雑誌を持つて廻《まわ》る、私《わたし》は又《また》紫《むらさき》ヅボンと云《いは》れて、柳原《やなぎはら》仕入《しいれ》の染返《そめかへし》の紺《こん》ヘルだから、日常《ひなた》に出ると紫色《むらさきいろ》に見える奴《やつ》を穿《は》いて、外套《ぐわいたう》は日蔭町物《ひかげちやうもの》の茶羅紗《ちやらしや》を黄《き》に返《かへ》したやうな、重《おも》いボテ/\したのを着て、現金《げんきん》でなくちや可《い》かんよとなどゝ絶叫《ぜつけう》する様《さま》は、得易《えやす》からざる奇観《きくわん》であつたらうと想《おも》はれる、這麼《こんな》風《ふう》で中坂《なかさか》に社《しや》を設《まう》けてからは、石橋《いしばし》と私《わたし》とが一切《いつさい》を処理《しより》して、山田《やまだ》は毎号《まいごう》一篇《いつぺん》の小説を書くばかりで、前のやうに社に対《たい》して密《みつ》なる関係《くわんけい》を持たなかつた、と云《い》ふのが、山田《やまだ》は元来《ぐわん
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