而中《せんだつてじゆう》冗《くど》うも冗うも差上申候《さしあげまをしさふらふ》。毎度の文にて細《こまか》に申上候へども、一通の御披《おんひらか》せも無之《これなき》やうに仰せられ候へば、何事も御存無《ごぞんじな》きかと、誠に御恨《おんうらめし》う存上候《ぞんじあげさふらふ》。百度千度《ももたびちたび》繰返《くりかへ》し候ても、是非に御耳に入れまゐらせ度存候《たくぞんじさふら》へども、今此の切なく思乱れ居《をり》候折《さふらふをり》から、又|仮初《かりそめ》にも此上に味気無《あぢきな》き昔を偲び候事は堪難《たへがた》く候故、ここには今の今心に浮び候ままを書続けまゐらせ候。
 何卒《なにとぞ》余所《よそ》ながらも承《うけたま》はり度《たく》存上候《ぞんじあげさふらふ》は、長々|御信《おんたより》も無く居らせられ候|御前様《おんまへさま》の是迄《これまで》如何《いか》に御過《おんすご》し被遊候《あそばされさふらふ》や、さぞかし暴《あら》き憂世《うきよ》の波に一方《ひとかた》ならぬ御艱難《ごかんなん》を遊《あそば》し候事と、思ふも可恐《おそろし》きやうに存上候《ぞんじあげさふらふ》を、ようもよ
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