まざらんやうに、限も知らず長く亘《わた》りぬ。げにこの積る話を聞きも聞せもせんが為に、彼等はここに来つるにやあらん。されども、日は明日《あす》も明後日《あさつて》も有るを、甚《はなは》だ忙《せはし》くも語るもの哉《かな》。さばかり間遠《まどほ》なりし逢瀬《あふせ》なるか、言はでは裂けぬる胸の内か、かく有らでは慊《あきた》らぬ恋中《こひなか》か、など思ふに就けて、彼はさすがに我身の今昔《こんじやく》に感無き能はず、枕を引入れ、夜着《よぎ》引被《ひきかつ》ぎて、寐返《ねがへ》りたり。
何時罷《いつや》みしとも覚えで、彼等の寐物語は漸く絶えぬ。
貫一も遂に短き夢を結びて、常よりは蚤《はや》かりけれど、目覚めしままに起出《おきい》でし朝冷《あさびえ》を、走り行きて推啓《おしあ》けつる湯殿の内に、人は在らじと想ひし眼《まなこ》を驚《おどろか》して、かの男女《なんによ》は浴《ゆあみ》しゐたり。
貫一ははたと閉《とざ》して急ぎ返りつ。
第 四 章
両箇《ふたり》はやや熱かりしその日も垂籠《たれこ》めて夕《ゆふべ》に抵《いた》りぬ。むづかしげに暮山《ぼさん》を繞《めぐ》りし雲は、
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