れを償ふに足る可《べ》き死を以て為《せ》ざる可からざるか、或《あるひ》は、ここに過多《あやまちおほ》き半生の最期《さいご》を遂《と》げて、新《あらた》に他の値ある後半の復活を明日《みようにち》に計るべきか。
彼は強《あなが》ちに死を避けず、又生を厭《いと》ふにもあらざれど、両《ふたつ》ながらその値無きを、私《ひそか》に屑《いさぎよ》しと為《せ》ざるなり。当面の苦は彼に死を勧め、半生の悔は耻《はぢ》を責めて仮さず。苦を抜かんが為に、我は値無き死を辞せざるべきか、過《あやまち》を償はんが為に、我は楽まざる生を忍ぶべきか。碌々《ろくろく》の生は易《やす》し、死は即《すなは》ち難《かた》し。碌々の死は易し、生は則《すなは》ち難し。我は悔いて人と成るべきか、死してその愚を完《まつた》うすべきか。
貫一は活を求めて得ず、死を覓《もと》めて得ず、居れば立つを念《おも》ひ、立てば臥《ふ》すを想《おも》ひ、臥せば行くを懐《おも》ひ、寐《い》ぬれば覚め、覚むれば思ひて、夜もあらず、日もあらず、人もあらず、世もあらで、唯憂《ただうれ》ひ惑へる己一個《おのれひとり》の措所無《おきどころな》く可煩《わづらは
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