うち》だけを貴方に汲んで戴けば、私それで本望なので御座います。これ程に執心致してをる者を、徹頭徹尾貴方がお嫌ひ遊ばすと云ふのは、能く能くの因果で、究竟《つまり》貴方と私とは性が合はんので御座いませうから、それはもう致方《いたしかた》も有りませんが、そんなに為《さ》れてまでもやつぱりかうして慕つてゐるとは、如何《いか》にも不敏《ふびん》な者だと、設《たと》ひその当人はお気に召しませんでも、その心情はお察し遊ばしても宜いでは御座いませんか。決してそれをお察し遊ばす事の出来ない貴方ではないと云ふ事は、私今朝の事実で十分確めてをります。
 御自分が恋《こひし》く思召すのも、人が恋いのも、恋いに差《かはり》は無いで御座いませう。増《ま》して、貴方、片思《かたおもひ》に思つてゐる者の心の中はどんなに切ないでせうか、間さん、私貴方を殺して了ひたいと申したのは無理で御座いますか。こんな不束《ふつつか》な者でも、同じに生れた人間|一人《いちにん》が、貴方の為には全《まる》で奴隷《どれい》のやうに成つて、しかも今貴方のお辞《ことば》を一言《ひとこと》聞きさへ致せば、それで死んでも惜くないとまでも思込んでゐ
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