かわ》き、顔色などは殊《こと》に槁《か》れて、などかくは浅ましきと、心陰《こころひそか》に怪む貫一。
「ああ、未だ御在《おいで》でしたか」
「はい、居りました。お午前《ひるまへ》から私《わたくし》お待ち申してをりました」
「ああ、さうでしたか、それは大きに失礼しました。さうして何ぞ急な用でも」
「急な用が無ければ、お待ち申してをつては悪いので御座いますか」
語気の卒《にはか》に※[#「※」は「がんだれ(厂)+萬」、368−10]《はげし》きを駭《おどろ》ける貫一は、空《むなし》く女の顔を見遣《みや》るのみ。
「お悪いで御座いませう。お悪いのは私能く存じてをります。第一お待ち申してをりましたのよりは、今朝ほど私の参りましたのが、一層お悪いので御座いませう。飛《とん》だ御娯《おたのしみ》のお邪魔を致しまして、間さん、誠に私相済みませんで御座いました」
その眼色《まなざし》は怨《うらみ》の鋩《きつさき》を露《あらは》して、男の面上を貫かんとやうに緊《きびし》く見据ゑたり。
貫一は苦笑して、
「貴方《あなた》は何を※[#「※」は「言+(「荒」の「亡」の代わりに「曷−日−勹」)」、368−
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