益《ますま》す放さず、両箇《ふたり》が顔は互に息の通はんとすばかり近く合ひぬ。一生又|相見《あひみ》じと誓へるその人の顔の、おのれ眺《なが》めたりし色は疾《と》く失せて、誰《たれ》ゆゑ今の別《べつ》に※[#「※」は「豐+盍」、354−15]《えん》なるも、なほ形のみは変らずして、実《げ》にかの宮にして宮ならぬ宮と、吾は如何《いか》にしてここに逢へる! 貫一はその胸の夢むる間《ひま》に現《うつつ》ともなく彼を矚《まも》れり。宮は殆《ほとん》ど情|極《きはま》りて、纔《わづか》に狂せざるを得たるのみ。
彼は人の頭《かしら》より大いなるダイアモンドを乞ふが為に、この貫一の手を把《と》る手をば釈《と》かざらん。大いなるダイアモンドか、幾許《いかばかり》大いなるダイアモンドも、宮は人の心の最も小き誠に値せざるを既に知りぬ。彼の持《も》たるダイアモンドはさせる大いなる者ならざれど、その棄去りし人の誠は量無《はかりな》きものなりしが、嗟乎《ああ》、今|何処《いづこ》に在りや。その嘗《かつ》て誠を恵みし手は冷《ひやや》かに残れり。空《むなし》くその手を抱《いだ》きて泣かんが為に来《きた》れる宮が悔は
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