どの顔で逢ふ意《つもり》か。先達而《せんだつて》から頻《しきり》に手紙を寄来《よこ》すが、あれは一通でも開封したのは無い、来れば直《すぐ》に焼棄てて了ふのだから、以来は断じて寄来さんやうに。私《わたし》は今病中で、かうしてゐるのも太儀《たいぎ》でならんのだから、早く帰つて貰ひたい」
彼は老婢を召して、
「お客様のお立《たち》だ、お供にさう申して」
取附く島もあらず思悩《おもひなや》める宮を委《お》きて、貫一は早くも独り座を起たんとす。
「貫一さん、私《わたし》は今日は死んでも可《い》い意《つもり》でお目に掛りに来たのですから、貴方《あなた》の存分にどんな目にでも遭《あは》せて、さうしてそれでともかくも今日は勘弁して、お願ですから私の話を聞いて下さいまし」
「何の為に!」
「私は全く後悔しました! 貫一さん、私は今になつて後悔しました!! 悉《くはし》い事はこの間からの手紙に段々書いて上げたのですけれど、全《まる》で見ては下さらないのでは、後悔してゐる私のどんな切ない思をしてゐるか、お解りにはならないでせうが、お目に掛つて口では言ふに言《いは》れない事ばかり、設《たと》ひ書けない私の
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