けれど、雅さんは阿父《おとつ》さんや阿母《おつか》さんの為方《しかた》を慍《おこ》つてお在《いで》なのに違無い。それだから私までが憎いので、いいえ、さうよ、私は何でも可いから、若し雅さんが引取つて下さらなければ、一生|何処《どこ》へも適《い》きはしませんから」
 女は処々《ところどころ》聞き得ぬまでの涙声になりぬ。
「だつて、尊父さんや尊母さんが不承知であつて見れば、幾許《いくら》私の方で引取りたくつても引取る訳に行かないぢやありませんか。それも、誰《たれ》を怨《うら》む訳も無い、全く自分が悪いからで、こんな躯《からだ》に疵《きず》の付いた者に大事の娘をくれる親は無い、くれないのが尤《もつとも》だと、それは私は自分ながら思つてゐる」
「阿父さんや阿母さんがくれなくても、雅さんさへ貰《もら》つて下されば可いのぢやありませんか」
「そんな解らない事を言つて! 私だつてどんなに悔《くやし》いか知れはしない。それは自分の不心得からあんな罪にも陥ちたのだけれど、実を謂へば、高利貸の※[#「※」は「(箆−竹−比)/民」、338−17]《わな》に罹《かか》つたばかりで、自分の躯には生涯の疵《きず》を
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