に」
「さうでもないさ」
「君は今では彼の事をどう思うてをるな」
「彼とは宮の事かね。あれは畜生さ!」
「然し、君も今日《こんにち》では畜生ぢやが、高利貸などは人の心は有つちやをらん、人の心が無けりや畜生じや」
「さう云ふけれど、世間は大方畜生ぢやないか」
「僕も畜生かな」
「…………」
「間、君は彼が畜生であるのに激してやはり畜生になつたのぢやな。若《も》し彼が畜生であつたのを改心して人間に成つたと為たら、同時に君も畜生を罷《や》めにやならんじやな」
「彼が人間に成る? 能はざる事だ! 僕は高利を貪《むさぼ》る畜生だけれど、人を欺く事は為んのだ。詐《いつは》つて人の誠を受けて、さうしてそれを売るやうな残忍な事は決して為んのだ。始から高利と名宣《なの》つて貸すのだから、否な者は借りんが可いので、借りん者を欺いて貸すのぢやない。宮の如き畜生が何で再び人間に成り得《う》るものか」
「何為《なぜ》成り得《え》んのか」
「何為《なぜ》成り得《え》るのか」
「さうなら君は彼の人間に成り得んのを望むのか」
「望むも望まんも、あんな者に用は無い!」
 寧《むし》ろその面《めん》に唾《つば》せんとも思
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