君は望んではをらんやうじや。さうであるならば僕の方でも敢《あへ》て望まん、立派に名宣《なの》つて僕も間貫一を棄つる!」
 貫一は頭《かしら》を低《た》れて敢て言はず。
「然し、今日《こんにち》まで親友と思うてをつた君を棄つるからには、これが一生の別《わかれ》になるのぢやから、その餞行《はなむけ》として一言《いちごん》云はんけりやならん。
 間、君は何の為に貨《かね》を殖《こしら》ゆるのぢや。かの大いなる楽《たのしみ》とする者を奪れた為に、それに易《か》へる者として金銭《マネエ》といふ考を起したのか。それも可からう、可いとして措《お》く。けれどもじや、それを獲《え》る為に不義不正の事を働く必要が有るか。君も現在|他《ひと》から苦められてゐる躯《からだ》ではないのか。さうなれば己《おのれ》が又|他《ひと》を苦むるのは尤《もつと》も用捨すべき事ぢやらうと思ふ。それが他《ひと》を苦むると謂うても、難儀に附入《つけい》つて、さうしてその血を搾《しぼ》るのが君の営業、殆ど強奪に等い手段を以つて金を殖《こしら》えつつ、君はそれで今日《こんにち》慰められてをるのか。如何《いか》に金銭《マネエ》が総《す
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