》みて、眉《まゆ》を顰《ひそ》めたるのみ。
「もう飲めんのか。ぢや此方《こつち》にお寄来《よこ》し」
「失礼ですけれど」
「この上へもう一盃注《いつぱいつ》いで貰はう」
「貴方、十時過ぎましたよ、早くいらつしやいませんか」
「可いよ、この二三日は別に俺の為る用は無いのだから。それで実はね今日は少し遅くなるのだ」
「さうでございますか」
「遅いと云つたつて怪いのぢやない。この二十八日に伝々会の大温習《おほざらひ》が有るといふ訳だらう、そこで今日五時から糸川《いとがわ》の処へ集つて下温習《したざらひ》を為るのさ。俺は、それお特得《はこ》の、「親々《おやおや》に誘《いざな》はれ、難波《なにわ》の浦《うら》を船出《ふなで》して、身を尽したる、憂きおもひ、泣いてチチチチあかしのチントン風待《かぜまち》にテチンチンツン……」
厭《いとは》しげに宮の余所見《よそみ》せるに、乗地《のりぢ》の唯継は愈《いよい》よ声を作りて、
「たまたま逢ひはア――ア逢ひイ――ながらチツンチツンチツンつれなき嵐《あらし》に吹分《ふきわ》けられエエエエエエエエ、ツンツンツンテツテツトン、テツトン国へ帰ればアアアアア父《ち
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