この夫に対する仕向《しむけ》は両三年来の平生《へいぜい》を貫きて、彼の性質とも病身の故《ゆゑ》とも許さるるまでに目慣《めなら》されて又|彼方《あなた》よりも咎められざるなり。それと共に唯継の行《おこなひ》も曩日《さきのひ》とは漸《やうや》く変りて、出遊《であそび》に耽《ふけ》らんとする傾《かたむき》も出《い》で来《き》しを、浅瀬《あさせ》の浪《なみ》と見《み》し間《ま》も無く近き頃より俄《にはか》に深陥《ふかはまり》して浮《うか》るると知れたるを、宮は猶《なほ》しも措《お》きて咎めず。他《ひと》は如何《いか》にとも為《せ》よ、吾身は如何にとも成らば成れと互に咎めざる心易《こころやす》さを偸《ぬす》みて、異《あやし》き女夫《めをと》の契を繋《つな》ぐにぞありける。
かかれども唯継はなほその妻を忘れんとはせず。始終の憂《うき》に瘁《やつ》れたる宮は決して美《うつくし》き色を減ぜざりしよ。彼がその美しさを変へざる限は夫の愛は虧《か》くべきにあらざりき。抑《そもそ》もここに嫁《とつ》ぎしより一点の愛だに無かりし宮の、今に到りては啻《ただ》に愛無きに止《とどま》らずして、陰《ひそか》に厭《
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