くるです。
力に成つてくれと言うたとて、義として僕は貴方の力には成れんぢやないですか。貴方の胸中も聴いた事ぢやから、敵にはなるまい、けれど力には成られんですよ。
間にもその後逢はんのですとも。一遍逢うて聞きたい事も言ひたい事も頗《すこぶ》る有るのぢやけれども。訪ねもせんので。それにや一向意味は無いですとも。はあ、一遍訪ねませう。明日《あす》訪ねてくれい? さうは可《い》かん、僕もこれでなかなか用が有るのぢやから。ああ、貴方も浮世《うきよ》が可厭《いや》か、僕も御同様じや。世の中と云ふものは、一つ間違ふと誠に面倒なもので、僕なども今日《こんにち》の有様では生効《いきがひ》の無い方じやけれど、このままで空《むなし》く死ぬるも残念でな、さう思うて生きてはをるけれど、苦しみつつ生きてをるなら、死んだ方が無論|勝《まし》ですさ。何故《なにゆゑ》命が惜いのか、考へて見ると頗《すこぶ》る解《わから》なくなる」
語りつつ彼は食を了《をは》りぬ。
「嗚呼《ああ》、貴方に給仕して貰ふのは何年ぶりと謂ふのかしらん。間も善う食うた」
宮は差含《さしぐ》む涙を啜《すす》れり。尽きせぬ悲《かなしみ》を何時
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