、その臨終と謂へば、気の毒とも何とも謂ひやうの無い……凡《およ》そ人の子としてこれより上の悲《かなしみ》が有らうか、察し給へ。それに就けても、改心せずに死なしたのが、愈《いよい》よ残念で、早く改心さへしてくれたらば、この災難は免《のが》れたに違無い。いや私はさう信じてゐる。然し、過ぎた事は今更為方が無いから、父の代《かはり》に是非貴方に改心して貰《もら》ひたい。今貴方が改心して下されば、私は父が改心したも同じと思つて、それで満足するのです。さうすれば、必ず父の罪も滅びる、私の念も霽《は》れる、貴方も正い道を行けば、心安く、楽く世に送られる。
成程、お話の様子では、こんな家業に身を墜《おと》されたのも、已《や》むを得ざる事情の為とは承知してをりますが、父への追善、又その遺族の路頭に迷つてゐるのを救ふのと思つて、金を貸すのは罷《や》めて下さい。父に関した財産は一切貴方へお譲り申しますからそれを資本に何ぞ人をも益するやうな商売をして下されば、この上の喜《よろこび》は有りません。父は非常に貴方を愛してをつた、貴方も父を愛して下さるでせう。愛して下さるなら、父に代つて非を悛《あらた》めて下さい
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