※」は「しんにょう+台」、264−16]《およ》びて還さざらんか、彼は忽《たちま》ち爪牙《そうが》を露《あらは》し、陰に告訴の意を示してこれを脅《おびやか》し、散々に不当の利を貪《むさぼ》りて、その肉尽き、骨枯るるの後、猶《な》ほ※[#「※」は「厭/食」、264−17]《あ》く無き慾は、更に件《くだん》の連帯者に対して寝耳に水の強制執行を加ふるなり。これを表沙汰《おもてざた》にせば債務者は論無う刑法の罪人たらざるべからず、ここに於《おい》て誰《たれ》か恐慌し、狼狽《ろうばい》し、悩乱し、号泣し、死力を竭《つく》して七所借《ななとこがり》の調達《ちようだつ》を計らざらん。この時魔の如き力は喉《のんど》を扼《やく》してその背を※[#「※」は「てへん+府」、265−3]《う》つ、人の死と生とは渾《すべ》て彼が手中に在りて緊握せらる、欲するところとして得られざるは無し。
雅之もこの※[#「※」は「(箆−竹−比)/民」、265−5]《わな》に繋《かか》りて学友の父の名を仮りて連印者に私用したりき。事の破綻《はたん》に及びて、不幸にも相識れる学友は折から海外に遊学して在らず、しかも父なる人は彼を
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