わたくし》が歩き難《にく》いです」
「貴方お寒うございませう。私お鞄《かばん》を持ちませう」
「いいや、どういたして」
「貴方《あなた》恐入りますが、もう少し御緩《ごゆつく》りお歩きなすつて下さいましな、私|呼吸《いき》が切れて……」
 已《や》む無く彼は加減して歩めり。満枝は着重《きおも》るシォウルを揺上《ゆりあ》げて、
「疾《とう》から是非お話致したいと思ふ事があるのでございますけれど、その後|些《ちよつ》ともお目に掛らないものですから。間さん、貴方、本当に偶《たま》にはお遊びにいらしつて下さいましな。私もう決して先達而《せんだつて》のやうな事は再び申上げませんから。些《ち》といらしつて下さいましな」
「は、難有《ありがた》う」
「お手紙を上げましても宜うございますか」
「何の手紙ですか」
「御機嫌伺《ごきげんうかがひ》の」
「貴方から機嫌を伺はれる訳が無いぢやありませんか」
「では、恋《こひし》い時に」
「貴方が何も私を……」
「恋いのは私の勝手でございますよ」
「然し、手紙は人にでも見られると面倒ですから、お辞《ことわり》をします」
「でも近日に私お話を致したい事があるのでござ
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