廻《めぐ》りて白日を見ず、行けども行けども無明《むみよう》の長夜《ちようや》今に到るまで一千四百六十日、逢《あ》へども可懐《なつかし》き友の面《おもて》を知らず、交《まじは》れども曾《かつ》て情《なさけ》の蜜《みつ》より甘きを知らず、花咲けども春日《はるび》の麗《うららか》なるを知らず、楽来《たのしみきた》れども打背《うちそむ》きて歓《よろこ》ぶを知らず、道あれども履《ふ》むを知らず、善あれども与《くみ》するを知らず、福《さいはひ》あれども招くを知らず、恵あれども享《う》くるを知らず、空《むなし》く利欲に耽《ふけ》りて志を喪《うしな》ひ、偏《ひとへ》に迷執に弄《もてあそ》ばれて思を労《つか》らす、吁《ああ》、彼は終《つひ》に何をか成さんとすらん。間貫一の名は漸《やうや》く同業者間に聞えて、恐るべき彼の未来を属目《しよくもく》せざるはあらずなりぬ。
かの堪《た》ふべからざる痛苦と、この死をも快くせんとする目的とあるが為に、貫一の漸く頻《しきり》なる厳談酷促《げんだんこくそく》は自《おのづ》から此処《ここ》に彼処《かしこ》に債務者の怨《うらみ》を買ひて、彼の為に泣き、彼の為に憤るもの寡《
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