の機関がある、曰《いは》く戦《たたかひ》!」
風「もう釈《ゆる》してやれ、大分《だいぶ》苦しさうだ」
蒲「強国にして辱《はづかし》められた例《ためし》を聞かん、故《ゆゑ》に僕は外交の術も嘉納流よ」
遊「余り酷《ひど》い目に遭せると、僕の方へ報《むく》つて来るから、もう舎《よ》してくれたまへな」
他《ひと》の言《ことば》に手は弛《ゆる》めたれど、蒲田は未《いま》だ放ちも遣らず、
「さあ、間、返事はどうだ」
「吭《のど》を緊められても出す音《ね》は変りませんよ。間は金力には屈しても、腕力などに屈するものか。憎いと思ふならこの面《つら》を五百円の紙幣束《さつたば》でお撲《たた》きなさい」
「金貨ぢや可かんか」
「金貨、結構です」
「ぢや金貨だぞ!」
油断せる貫一が左の高頬《たかほ》を平手打に絶《したた》か吃《くらは》すれば、呀《あ》と両手に痛を抑《おさ》へて、少時《しばし》は顔も得挙《えあ》げざりき。蒲田はやうやう座に復《かえ》りて、
「急には此奴《こいつ》帰らんね。いつそここで酒を始めやうぢやないか、さうして飲みかつ談ずると為《せ》う」
「さあ、それも可《よ》からう」
独り可からぬは
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