手段なのだ」
「それは固より御同感さ。けれども、紳士が高利《アイス》を借りて、栄と為るに足れりと謂《い》ふに至つては……」
蒲田は恐縮せる状《さま》を作《な》して、
「それは少し白馬は馬に非《あら》ずだつたよ」
「時に、もう下へ行つて見て遣り給へ」
「どれ、一匕《いつぴ》深く探る蛟鰐《こうがく》の淵《えん》と出掛けやうか」
「空拳《くうけん》を奈《いか》んだらう」
一笑して蒲田は二階を下りけり。風早は独《ひと》り臥《ね》つ起きつ安否の気遣《きづかは》れて苦き無聊《ぶりよう》に堪へざる折から、主《あるじ》の妻は漸《やうや》く茶を持ち来りぬ。
「どうも甚《はなは》だ失礼を致しました」
「蒲田は座敷へ参りましたか」
彼はその美き顔を少く赧《あか》めて、
「はい、あの居間へお出《いで》で、紙門越《ふすまごし》に様子を聴いてゐらつしやいます。どうもこんなところを皆様のお目に掛けまして、実にお可恥《はづかし》くてなりません」
「なあに、他人ぢやなし、皆様子を知つてゐる者ばかりですから構ふ事はありません」
「私《わたくし》はもう彼奴《あいつ》が参りますと、惣毛竪《そうけだ》つて頭痛が致すのでご
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