とも》に田鶴見子爵に招れて、男同士のシャンペンなど酌交《くみかは》す間《ま》を、請うて庭内を遊覧せんとて出でしにぞありける。
子爵と富山との交際は近き頃よりにて、彼等の孰《いづれ》も日本写真会々員たるに因《よ》れり。自《おのづか》ら宮の除物《のけもの》になりて二人の興に入《い》れるは、想ふにその物語なるべし。富山はこの殿と親友たらんことを切望して、ひたすらその意《こころ》を獲《え》んと力《つと》めけるより、子爵も好みて交《まじは》るべき人とも思はざれど、勢ひ疎《うとん》じ難《がた》くして、今は会員中善く識《し》れるものの最《さい》たるなり。爾来《じらい》富山は益《ますま》す傾慕して措《お》かず、家にツィシアンの模写と伝へて所蔵せる古画の鑒定《かんてい》を乞ふを名として、曩《さき》に芝西久保《しばにしのくぼ》なる居宅に請じて疎《おろそか》ならず饗《もてな》す事ありければ、その返《かへし》とて今日は夫婦を招待《しようだい》せるなり。
会員等は富山が頻《しきり》に子爵に取入るを見て、皆その心を測りかねて、大方は彼為《かれため》にするところあらんなど言ひて陋《いやし》み合へりけれど、その実
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