せんくつ》を見出して来たのだ。それで我々を引張つて行つて、大いに気焔《きえん》を吐く意《つもり》なのさ」
「何じやい、何じやい! 君達がこの二人に犠牲に供されたと謂《い》ふなら、僕は四人の為に売られたんじや。それには及ばんと云ふのに、是非浜まで見送ると言うで、気の毒なと思うてをつたら、僕を送るのを名として君達は……怪《け》しからん事《こつ》たぞ。学生中からその方は勉強しをつた君達の事ぢやから、今後は実に想遣《おもひや》らるるね。ええ、肩書を辱《はづかし》めん限は遣るも可《よ》からうけれど、注意はしたまへよ、本当に」
この老実の言《げん》を作《な》すは、今は四年《よとせ》の昔|間貫一《はざまかんいち》が兄事《けいじ》せし同窓の荒尾譲介《あらおじようすけ》なりけり。彼は去年法学士を授けられ、次いで内務省試補に挙《あ》げられ、踰えて一年の今日《こんにち》愛知県の参事官に栄転して、赴任の途に上れるなり。その齢《よはひ》と深慮と誠実との故《ゆゑ》を以つて、彼は他の同学の先輩として推服するところたり。
「これで僕は諸君へ意見の言納《いひをさめ》じや。願《ねがは》くは君達も宜《よろし》く自重してく
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