を懺悔《ざんげ》したらんやうに、多少の涼きを覚ゆるなりき。
「そんなに言ふのなら、還《かへ》つて阿父さんに話をして見やうけれど、何もその所為《せゐ》で体が弱くなると云ふ訳も無かりさうなものぢやないか」
「いいえ、全くその所為よ。始終そればかり苦になつて、時々考込むと、実に耐《たま》らない心持になることがあるんですもの、この間逢ふ前まではそんなでもなかつたのだけれど、あれから急に――さうね、何と謂《い》つたら可いのだらう――私があんなに不仕合《ふしあはせ》な身分にして了《しま》つたとさう思つて、さぞ恨んでゐるだらうと、気の毒のやうな、可恐《おそろし》いやうな、さうして、何と無く私は悲くてね。外《ほか》には何も望は無いから、どうかあの人だけは元のやうにして、あの優い気立で、末始終阿父さんや阿母さんの世話をして貰つたら、どんなに嬉《うれし》からうと、そんな事ばかり考へては鬱《ふさ》いでゐるのです。いづれ私からも阿父さんに話をしますけれど、差当《さしあたり》阿母さんから好くこの訳をさう言つて、本当に頼んで下さいな。私二三日の内に行きますから」
されども母は投首《なげくび》して、
「私の考量《かんがへ》ぢや、どうも今更ねえ……」
「阿母さんは! 何もそんなに貫一さんを悪く思はなくたつて可いわ。折角話をして貰はうと思ふ阿母さんがさう云ふ気ぢや、とても阿父さんだつて承知をしては下さるまいから……」
「お前がそれまでに言ふものだから、私は不承知とは言はないけれど……」
「可いの、不承知なのよ。阿父さんもやつぱり貫一さんが憎くて、大方不承知なんでせうから、私は※[#「※」は「馮/几」、231−13]拠《あて》にはしないから、不承知なら不承知でも可いの」
涙含《なみだぐ》みつつ宮が焦心《せきごころ》になれるを、母は打惑ひて、
「まあ、お聞きよ。それは、ね、……」
「阿母さん、可いわ――私、可いの」
「可《よ》かないよ」
「可かなくつても可いわ」
「あれ、まあ、……何だね」
「どうせ可いわ。私の事はかまつてはおくれでないのだから……」
我にもあらで迸《ほとばし》る泣声を、つと袖に抑《おさ》へても、宮は急来《せきく》る涙を止《とど》めかねたり。
「何もお前、泣くことは無いぢやないか。可笑《をかし》な人だよ、だからお前の言ふことは解つてゐるから、内へ帰つて、善く話をした上で……」
「可
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