んの代りをつとめました。
 稲荷さんのことは、一向に持ち出されませんでした。いつまで待っても駄目らしいので、A女がそれとなく合図をしますと、小泉さんがそれを言い出してくれました。
 用件の話になると、こんどは急速にはかどりました。女将さんと女中頭とが、A女をあちこち案内しました。地所はまだ広く残っていますが、そこは将来の増築の場所ですし、庭の方にも思うような場所はなく、最後に、女将さんの居間の横手に連れてゆかれました。
「ここならどうかと思っておりますんですが……。」
 女将さんは初めからそこを物色していたらしいようでした。
 A女の胸にぴんときました。
 ――不浄の地。
 A女自身にもその理由は分りませんでしたが、静に言ってみました。
「ここはなんだか、不浄な場所のような気が致します。」
 女将さんと女中頭は顔を見合せて、頷きあいました。そして女将さんが言いますには、居間のそばだから丁度よいと思っていたが、言われてみれば、なるほど、そこの板塀の外が道路になっていて、夜分になると、立小便する人が多い、とのことでした。
 そこがだめだとなると、ほかにもう適当な場所はなさそうでした。女将さ
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