江は不思議そうに眺めた。
「なあに、病気なんかするものか。尻が重かっただけさ。それを、どうだい、僕がむりやりに引張ってきたんだ。」
「あらそう。有難いわね。」
「まだ早い。実は、そのくせ、来たくてたまらなかったんだからね。まあ一ついこう。」
 千代次はなみなみとうけて、一息に干した。それを中江に返してから、ひょいと考えこんだ。斜視めいた眼が宙に据って、頬の血色の乏しさと相まって、一寸人の気を惹く。頽廃の一歩前の美しさだ。鬢の毛が目につかないほどに震えている。そのくせ、細そりした上半身は静まり返って、どこで息をしてるのか疑われる。じっと村尾の様子に目をつけてその眼を中江の方にずらしてきた。
「どうしたの……何だか変だわね。」
「そりゃあ、少しはね……。」云いさして中江は、じろりと村尾の方を挑戦的に見やった。「ヨタさんとは違うさ。」
 それが、湖面に石を投げたようなもので、村尾の頬に微笑が描かれた。彼は何か他のことを考えてたらしい。それから引戻されて、微笑と共に千代次の顔をぼんやり眺めた。千代次は晴れやかに笑ってその視線を受けとめた。
「あら、つまんないことを饒舌ったのね。」
「つまんなか
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