得はやがて或る精神力の覚醒となる。この覚醒の方向が問題である。更に各地に放置されてる小学校が将来あらためて開校される場合の、その教育方針は一層重大問題である。ここに、新たな東洋文化の課題があり、この課題の解決の仕方によって、北支農民大衆の生活力は精神的に向上もしようし低下もしよう。
 ただ、現在、河北平野にある村落が、塵埃をかぶって地面にもぐってるに比べて、中支平野の村落は、ずっと地上に背を伸しているし、その屋背の曲線の美で人の目を楽しませるものも多い。この違いは、単に気候風土や貧富の差に依るのみではあるまい。人の住居の形態は、それをイメージとして抽出すれば、住む人自体にじかにつながる。
      *
 ここで目を転じて、北京の都市を眺めてみよう。
 北京についてはいろいろの讃美がなされた。将来もなされることであろう。観賞の対象としては、北京ほど多くのものを持ってる都市は支那全土にない。
 地図を見ればすぐに分ることであるが、北京は内城地域と外城地域とからなり、内城の中央に、その六分の一に当る広さの旧皇城がある。そして旧皇城の中に、旧紫金城の殿堂が聳えている。その黄瓦朱壁の宏壮な堂宇
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