のよいのに蓑笠《みのかちゃ》ちゅけて
朝《あーちゃ》から晩《ばーん》までたーだ立ち通ち
歩《あーる》けなーいのか山田の案山子《かがち》
………………………………
[#ここで字下げ終わり]
歌が止むと、何かに遮られたような低い話声がする。
――駄目よあなたは、調子っ外れだから。
――ええ、私は何をやっても調子外れだけれど……だって、かがち[#「かがち」に傍点]なんて云えやしないわ。
――三つと六つのお子さんだから、そう云わなくちゃいけないわ。
――六つでまだ片言《かたこと》を仰言るの?
――ええまだ。いっぽんあち[#「いっぽんあち」に傍点]、かがち[#「かがち」に傍点]、なのよ。それに、宮原さんまで片言で一緒に歌っていらっしゃるから、そりゃ可笑しいのよ。
昌作は、宮原という言葉に注意を惹かれるはずみに、はっと眼を覚した。上半身を起して振向くと、向うの煖炉の側に、珈琲碗や菓子皿が幾つも取散らされたままの卓子に、沢子と春子とが坐っていた。二人は昌作が起上ったのを見て、ぷつりと話を止めてしまった。それがまた、何か云ってならないことを云ったという様子だった。昌作はぞっと寒けを感じ
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