うに感じながら、暗い絶望の底に沈んでゆく自分自身を見守っていた。――そして実は、昌作はその時嫌な酔い方をしていた。頭にまるで弾力がなくなって、脳の表皮だけがきつく張りきって、薄いセルロイドの膜かなんぞのように、びーんびーんと音を立てて痛んでいた。それが半ばは彼の暗い絶望を助長していた。
 けれどその絶望の底まで達すると、彼の心はわりに落着いた。窓硝子にちらちらする街路の光や、その硝子越しに聞ゆる電車の響きなぞは、いつしか彼を夢のうちにでもいるような心地になした。彼はうっとりと――而も何処か苛ら苛らと思いに沈んだ。自分が此処にこうしてつっ伏してることが、遠い記憶の中にあるようだった。それを見守ってるうちに、疲労と酔いと頭痛――遠い大きな頭痛とに圧倒されていった。一切のことが茫と霞んでいった。そして彼はぐっすり――殆んど安眠と云ってもよいほどに眠ってしまったのである。
 幾時間かたった……。
 遠い所で、調子のよい澄んだ声と、少し濁りのある調子外れの声とが、一緒に歌をうたっている――

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山田《やーまだ》のなーかの、一本|足《あち》の案山子《かがち》
天気《てーんき》
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