てて、彼女は奥へ立っていった。
沢子はなかなか出て来なかった。昌作が待ちあぐんで苛ら苛らしてると、漸く沢子はやって来た。そして一枚の葉書を彼へ差出した。
「今朝、宮原さんから来たのよ。読んでごらんなさい。」
昌作は受取って読んだ。
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御手紙拝見。またそんなむちゃなことを云ったって駄目ですよ、もう少し待たなくては。それから、佐伯君とは快く話が出来て、僕も嬉しい気がします。ただ、変な工合になって、誰にも話さなかったことを、僕達の昔のことを、すっかり話してしまったが、後で考えると、少し早すぎたように思われます。佐伯君のうちには、まだあなたが本当に知っていないものがあるようです。或は、後で何か苦しんでいるかも知れません。逢ったら慰めて上げて下さい。何れまた。
[#ここで字下げ終わり]
昌作はそれを二度繰返して読んだ。眼の中に熱い涙がにじんでくると同時に、また反対に、呪わしい憤りが湧き上ってきた。彼は葉書の表までよく見調べてからこう云った。
「君はこれを、僕に見せるために、わざわざ持って来たの?」
その泣くような詰問するような調子に、沢子は一寸眼を見張ったが、静
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