す。私はどうしていいか分らなくなります。……此度躓いたら、もう何もかも駄目です。私自身は駄目になってしまうんです。もう立上ることが出来ないかも知れません。もう今迄のようなぐうたらな生活を続けることも出来ないし、働くことも出来ないかも知れません。全くめちゃくちゃになりそうです、此度躓いたら……。」
 然し彼の心は別なことを感じていた。それは「此度躓いたら」ではなくて、「沢子を失ったら」であった。彼はその時、沢子こそ自分の生活を照らしてくれる光であることを、ひしと感じたのだった。生活を立て直すには、仕事を見出すことが第一であると禎輔は云ったが、また、何をやるかという方向を見出すことが第一であると俊彦は云ったが、それよりも実は、沢子こそ最も必要であることを、彼は感じたのだった。沢子を失ったら、凡てが暗闇のうちに没し去るということを、感じたのだった。――そして彼は突然涙に咽んで云った。
「考えてみます。……よく考えてみます。」
 禎輔は一寸肩を聳かした。昌作の言葉とその心との距りを少し気付き初めたかのように、彼の顔をじっと見つめた。がその時昌作は、自分の心を曝すのが堪え難くなって、咄嗟に、殆ん
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