う。
女――そう、ではどうぞ。……あなた、今日は御気分はどう。
病人――大変よいようだ。
女はほっと息をついて、病人の顔をしげしげと眺める。看護婦は扉から出て行く。病人は力ない微笑を窶れた頬に浮べながら、じっと窓の外を眺めている。
底本:「豊島与志雄著作集 第六巻(随筆・評論・他)」未来社
1967(昭和42)年11月10日第1刷発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2005年12月8日作成
青空文庫作成ファイル:
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