しそうな顔をしているね。
 B――お前はまた、いつも肥って嬉しそうな顔をしているね。
 A――そうさ、俺は嬉しいのだ。
 B――俺は悲しいのだ。
 A――だがお互に、もう幾日の生命でもない。屹度恢復するなどと、医者は気安めなことを云ってるが、そうでないことを、俺はよく知っている。
 B――それを知っていながら、お前は悲しくはないのか。
 A――少しも悲しいとは思わない。俺は常に、いつ死んでもよいような生き方をしてきたのだ。生きている間は、生きることを楽しみ、死ぬ場合には、死ぬことを楽しむのだ。生きたいとか死にたいとか、そういう欲求は俺にはない。俺にとっては、生も死も結局同じものだとしか考えられない。
 B――お前は極端な虚無主義者だ。俺はそういう虚無主義を憎む。俺に云わすれば、生は凡てであり、死は無である。生きてる間こそ、この俺という者もあり、俺の生活もあり、人生もあるのだ。死はそれらのものを凡て滅ぼしてしまう。生も死も同じだというお前には、生活もなく、人生もなく、お前自身もなく、ただあるのは虚無ばかりだ。
 A――いや、俺には常に喜びがある、その喜びを楽しむ俺自身がある。
 B――然
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