囚われた理性を昏迷さすに違いない。何に囚われてるかというと、デモクラシーという言葉にだ。だから諸君の政治的運動を反省してみ給え。すべてこれ、真の政治的運動ではなくて、単なる政権運動であり、成り上ろうとするあがきではないか。デモクラシーに於ける人権の尊重は、すべての者が特権を持ち、すべての者が高きに位置する、そこの所から初まらねばならぬことを、まだ諸君は理解していないし、ただデモクラシーという言葉の皮相な響きにのみ囚われているのだ。
――そういう諸君には、高い低いとかいう言葉が恐らく不愉快に聞えるだろう。然し人間としての人格のあり方について向上発展があるとすれば、高い低いは最も端的な明瞭な表現であって、万人に理解され得るものであろう。そしてこの表現の中に、理想主義の実質が含まれている。理想主義的なものを凡て失ったデモクラシーなどは、豚のそれに過ぎない。
――右のような設問や非議は、或は乱暴と思われるかも知れない。然しこの乱暴を敢て為す所以は、人々の思想が、宛も水の如く、低きへ低きへと就きたがるからに外ならない。こういう傾向は、敗戦にふさわしいものであるかも知れないが、何かを建設せんと
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