父の唯一の道楽だった。父が口ずさんだ詩などは忘れてしまうがよい。

 正夫よ、この一寸した話が、君に贈る父の形見だ。それならば、こうしたことを君に話す僕は、君の父とどういう関係にあるか。何の関係もない。僕は単なる説話者にすぎないのだ。僕のことなどは忘れてしまい給え。



底本:「豊島与志雄著作集 第三巻(小説3[#「3」はローマ数字、1−13−23])」未来社
   1966(昭和41)年8月10日第1刷発行
初出:「行動」
   1934(昭和9)年10月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2008年5月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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