ことは決してありませんから、単に参考のために、仔細を聞かして頂けますまいか。私一個人として伺うだけですから。」
 晋作は微笑を浮べた。それから一寸躊躇した。
「何かお差支えがあれば、強いてとは申しませんけれど。」と刑事は云った。
 その言葉が妙に晋作の気持に絡みついた。怪異に縁故があると思われて堪るものか、と考えたが、その憤慨の念が我ながら可笑しくなって、次には凡てをぶちまけてやれという気になった。
「怪しいといっても、何もはっきりしたことはありませんが……恐らく気のせいかも知れませんが、ただ……。」押入が不気味だということだけを、彼は細かく語った。
 刑事は注意深く聞いていたが、晋作の言葉が途切れて暫くしてから、その押入を検べさしてはくれまいかと云い出した。原因を明かにした方が皆のためだと。
 云われて見ればその通りだった。彼は苦笑しながら承知したが、また思い直して、秋子を其処へ呼んだ。
 秋子は仔細を聞いてから、不思議そうに刑事の顔を見守っていたが、やがて俄に眉をひそめた。
「だけど、子供達や清が猶更恐がるようになりはしませんでしょうかしら。」
 彼女の懸念は道理だった。
「では何
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