にころがして……妊娠さえも彼女にとっては「ええいいわ」の一つの現われに過ぎなかったようです。芸妓廃業、世帯、出産、子供の死亡、移転、妊娠……そうした、私から考えれば彼女にとっての重大事らしい事柄も、一切を平気で受け容れ通りすぎてるのでした。そしていつも、若々しくにこやかにしていました。
驚嘆から、次には、負けた……その一言でつくせる気持です。もし自然というものがあるなら、彼女はそのいい見本でしょう。こんな時、ふっと、死にたくなる気持の起ることが、ないものでしょうか。私がもし一言云い出せば、彼女は即座に、ええいいわ、と云うにきまっています。そしたらもう、取返しのつかないことになりそうです……。
私は次第に憂欝になって、酒をのむことが益々多くなりました。友人たちの軽蔑の眼を……気のせいか……感ずることが多く、それよりも、小野君の怒ったような眼付が、更に私の胸を刺し[#「刺し」は底本では「剌し」]ました。
「この頃はどうだい?」
そう何気なく尋ねられても、私は苦笑を返すだけでした。そしていつぞや彼と喧嘩腰で云いあった時の言葉などが、ちらちら頭の底に浮んできました。そうだ……。私はいろい
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