すこを真直に行ったら、俺にとっては曲ったことになったろう。
 彼は眼をつぶって歩き、一度は滑ってころび、それから足を早めました。
 その坂下の小料理屋で、木原はすっかり酔っ払って、もう三浦行男の家へは行きませんでした。酔いつぶれながら、そして涙ぐみながら、道標とか、照子とか、胸の中で繰り返していました。



底本:「豊島与志雄著作集 第四巻(小説4[#「4」はローマ数字、1−13−24])」未来社
   1965(昭和40)年6月25日第1刷発行
初出:「文芸春秋」
   1947(昭和22)年4月
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2008年1月16日作成
青空文庫作成ファイル:
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